教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置について
(昭和53年10月6日 文初特第309号、文部省初等中等教育局長通達)
学校教育法中養護学校における就学義務に関する規定が、昭和54年4月1日から施行されることに伴う学齢簿の作成及び就学時の健康診断の時期の繰上げその他就学義務に関する事務手続についての所要の整備等については、「学校教育法施行令及び学校保健法施行令等の一部改正について」(昭和53年8月18日付け文初特第283号文部事務次官通達)をもってお知らせしました。
この法令改正に伴い教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置について留意すべき点は下記のとおりとしますので、事務処理上遺憾のないように願います。なお、「学校教育法および同法施行令の一部改正に伴う教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育的措置について」(昭和37年10月18日付け文初特第380号)及び「盲者、聾者等の就学の適正な措置と指導について」(昭和38年12月23日付け文初特第435号初等中等教育局長、体育局長通知)は廃止します。
また、各都道府県教育委員会にあっては、貴管下の市町村関係機関に対してこのことを通知し、趣旨を徹底されるよう御配慮願います。
記
第一 教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置及び心身の故障の判断に当たっての留意事項
教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置及び心身の故障の判断に当たっての留意事項は、次に掲げるところによることと し、特に心身の故障の判断に当たっては、医学的、心理学的、教育的な観点から総合的かつ慎重に行い、その適正を期すること。
一 盲者及び弱視者について
(1) 教育措置
ア 学校教育法施行令第22条の2表(以下「施行令の表」という。)盲者の項に規定する程度の盲者(強度の弱視者を含む。)は盲学校にお いて教育すること。施行令の表盲者の項において「視力以外の視機能障害が高度のもの」とは高度の視野狭窄、高度の夜盲、全色盲 などの障害をいい、また「将来点字による教育を必要とすることとなると認められるもの」とは進行性眼疾患のため将来視力又は視力以 外の視機能の障害が高度になると認められるものをいうこと。
イ 両眼の視力が矯正しても0.1以上0.3未満の者又は視力以外の視機能障害が高度の者で、その視機能障害の程度が施行令の表盲 者の項に規定する程度に達しない者については特殊学級において教育するか又は通常の学級において留意して指導すること。
(2) 心身の故障の判断に当たっての留意事項
上記(1)ア及びイに掲げる者の判断は、専門医による精密な診断に基づき総合的に行うこと。
なお、年少者、精神薄弱者などに対する 視力及び視力以外の視機能の検査は困難な場合が多いからその正確を期するよう特に留意すること。
二 聾者及び難聴者について
(1) 教育措置
ア 施行令の表望者の項に規定する程度の聾者(強度の難聴者を含む。)は聾学校において教育すること。
イ 両耳の聴力損失が90デシベル未満50デシベル以上で、補聴器を使用すれば通常の話声を解するに著しい困難を感じない程度の者 及び両耳の聴力損失が50デシベル未満で、補聴碧を使用しても通常の話声を解することが困難な程度の者については、特殊学級 において教育するか又は通常の学級において留して指導すること。
(2) 心身の故障の判断に当たっての留意事項
上記(1)ア及びイに掲げる者の判断は、専門医による聴力障害に関する精密な診断結果に基づき、失聴の時期を含む生育歴及び知能 ごとに言語の発達状態を考慮して総合的に行うよう留意すること。 なお、その際必要に応じ、聾学校教員など聾、難聴児の取扱いに 経験を有する者の協力を得ることが望ましいこと。
三 知的障害者について
(1) 教育措置
ア 施行令の表知的障害者の項に規定する程度の知的障害者は養護学校において教育すること。
施行令の表知的障害者の項において「精神発育の遅滞の程度が中度以上のもの」とは、重度の知的障害及び中度の知的障害を指 し、重度の知的障害とは、ほとんど言語を解さず、自他の意思の交換及び環境への通応が著しく困難であって、日常生活において常 時介護を必要とする程度のもの(知能指数(IQ)による分類を参考とすれば(以下「IQ」という。)25ないし20以下のもの)、中度の知的 障害とは、環境の変化に適応する能力が乏しく、他人の助けによりようやく身辺の事柄を処理することができる程度のもの(IQ20な
いし25から50の程度)をいう。
施行令の表知的障害者の項において「精神発育の遅滞の程度が軽度のもの」とは、軽度の知的障害を指し、軽度の知的障害とは 、日常生活に差し支えない程度に身辺の事柄を処理することができるが、抽象的な思考は困難である程度のもの(IQ50から75の程 度)をいう。
イ 施行令の表知的障害者の項に規定する程度に達しない知的障害者は特殊学級において教育すること。
(2) 心身の故障の判断に当たっての留章事項
上記(1)ア及びイに掲げる者の対断は、精神発育の遅滞の程度を明確にするための標準化された知能検査の厳密な実施並びに生育 歴及び現在の心身の状態(身辺自立、運動機能、社会生活等)についての調査並びに家族、友人、学校等本人の発達に影響をもつ 環境の分析などを行った上で、総合的見地から慎重に行うこと。
四 肢体不自由者について
(1) 教育措置
ア 施行令の表肢体不自由者の項に規定する程度の肢体不自由者は養護学校において教育すること。
イ 肢体不自由の程度が施行令の表肢体不自由者の項に規定する程度に達しない程度の者は、通常の学級において留意して指導す るか又は必要に応じて特殊学級において教育すること。
(2) 心身の故障の判断に当たっての留意事項
上記(1)ア及びイに掲げる者の判断は、専門医の精密な診断結果に基づき、体幹、上肢及び下肢の個々の機能障害、これらの結合的 な機能障害及びそれらの機能障害を改善し、又は機能を回復するに要する期間などを考慮して慎重に行うこと。
なお、変形や欠損については、肢体の機能に及ぼす影響が施行令の表肢体不自由者の項に掲げる程度に達するかどうかを考慮し て判断すること。
五 病弱者について
(1) 教育措置
ア 施行令の表病弱者の項第1号に規定する程度の病弱者は養護学校において教育すること。
イ 慢性疾患の状態が6か月未満の医療を必要とする程度の者は、その状態に応じて必要な期間療養に専念するよう指導するか又は通 常の学級において留意して指導すること。 なお、病院などにおいて療養中の者は、特殊学級を設けて教育することは差し支えないこ と。
ウ 慢性疾患の状態が6か月未満の生活規制を必要とする程度の者は、特殊学級において教育するか又は通常の学級において留意し て指導すること。
(2) 心身の故障の判断に当たっての留意事項
上認(1)ア、イ及びウに掲げる者の判断は、医師の精密な診断の結果に基づき、疾患の種類、程度及び医療又は生活規制に要する期 間などを考慮して慎重に行うこと。
六 身体虚弱者について
(1) 教育措置
ア 施行令の表病弱者の項第2号に規定する程度の身体虚弱者は養護学校において教育すること。
イ 身体虚弱の状態が6か月未満の生活規制を必要とする程度の者は、特殊学級において教育するか又は通常の学級において留意し て指導すること。
(2) 心身の故障の判断に当たっての留意事項
上記(1)ア及びイに掲げる者の判断は、医師の精密な診断の結果に基づき、必要に応じて生育歴、羅病の傾向、健康診断の記録、 出欠状況、教職員の日常観察、生活規制に要する期間などを考慮して慎重に行うこと。
七 言語障害者について
聾、難聴、脳性まひによる肢体不自由、知的障害などに伴って生ずる言語障害を有する者は、その障害の性質及び程度に応じて聾学校 若しくは養護学校又は難聴者、肢体不自由者若しくは知的障害者のための特殊学級において教育すること。その他の言語障害者は、 その障害の性質及び程度に応じてその者のための特殊学級において教育するか又は通常の学級において留意して指導すること。
八 情緒障害者について
知的障害、病弱などに伴って情緒障害を有する者は、その障害の状態及び程度に応じて養護学校又は知的障害者若しくは病弱者の ための特殊学級において教育すること。
その他の情緒障害者は、その者のための特殊学級において教育するか又は通常の学級にお いて留意して指導すること。
九 2つ以上の障害を併せ持つ者について
2つ以上の障害を併せ持つ者については、その併せ持つ障害の種類、程度の軽重などを考慮して最も適切な教育措置(盲学校、聾学校 若しくは養護学校に就学させ、又は特殊学級において教育するなど)を講ずること。
十 就学義務の猶予又は免除について
治療又は生命・健康の維持のため療養に専念することを必要とし、教育を受けることが困難又は不可能な者については、保護者の願い 出により、就学義務の猶予又は免除の措置を行うこと。 なお、就学義務の猶予、免除の措置については慎重に行うこと。
第二 就学指導体制の整備について
都道府県及び市町村の教育委員会は、教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の心身の故障の種類、程度等の判断、これらの児童' 生徒に係る就学指導及び教育相談の実施、一般の教職員の心身障害児の教育に対する理解と協力を深めるための施策並びに一般社会 に対しての特殊教育に関する啓発を行う必要があること。
このため都道府県及び市町村の教育委員会は、機構組織の整備・充実を図り、専門の職員の配置に努め、さらに、都道府県の教育委 員会は、特殊教育の振興に資するため、心身障害児に係る教育相談、特殊教育関係教職員の研修等の事業を行う特殊教育センターの 整備に努めること。
また、都道府県及び市町村においては、専門家の意見を聞くことにより適切な就学指導を行うための機関(以下「就学指導委員会」と いう。)を次に掲げるところにより、設置するものとすること。
(1) 就学指導委員会は、教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の心身の故障の種類、程度等の判断について調査及び審議を行うもの であること。
(2) 就学指導委員会は、条例により設置することが望ましいこと。なお、単独で設置することが困難な市町村にあっては、共同設置など共 同処理の方法を考慮すること。
(3) 就学指導委員会は、都道府県にあっては、医師5人以上、教育職員7人以上及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)に定める児童 福祉施設(同法第15条に定める児童相談所を含む。以下同じ。)の職員3人以上をもって、市町村にあっては、医師2人以上、教育職 員7人以上及び児童福祉施設等の職員1人以上をもって組織することが望ましいこと。
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