身体障害者福祉法(昭和24年。12。26法律第283号)

  改正 昭二六法律一六九・昭二七法律二二二・昭二八法律二一三・昭二九法律二八・九五・昭三一法律一四八・一七九・昭三三法律二九・一二〇・一三三・昭三七法律一六一・昭三八法律一三三・一六八・昭三九法律一六九・昭四〇法律一四一・昭四二法律一一三・昭四三法律八〇・昭四四法律六四・昭四七法律一一二・昭四八法律六七・昭四九法律八八・昭五三法律五五・昭五四法律七〇・昭五八法律七八・昭五九法律六三・七一・昭六〇法律三七・昭六一法律四六・一〇九・平元法律二二・平二法律五八・平四法律六七・平五法律八九・平六法律四九・五六・八四


 身体に障害をもつ人びとの“自立と社会参加”をすすめるために、次のようなことが行われています。
 ●身体障害者手帳を発行。
 ●さまざまな相談。
 ●車イス・杖・補聴器・義足など補装具を交付。
 ●ホームヘルパー・デイサービス・ショートスティなどの在宅サービスを提供。
 ●浴槽・便器・ベッド・テープレコーダー・ワープロなど日常生活用具を貸与または交付。
 ●リハビリテーションの訓練。
 ●手話通訳・点訳・ガイドヘルパー・自動車の改造など社会参加に必要なサービスを提供。
 ●働く場を提供。
 ●介護の専門施設を提供。
 ●生活の場を提供。

 
相談の窓口は、市(区)町村の障害担当課。各市町村には、知事から任命された身体障害者相談員がおります。また、都道府県・指定都市の身体障害者更生相談所(障害者福祉センター)では、より専門的な相談に対応しています。


   第一章 総則
(法の目的)
第一条 この法律は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。
(自立への努力及び機会の確保)
第二条 すべて身体障害者は、自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を活用することにより、社会経済活動に参加することができるように努めなければならない。
2 すべて身体障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。
(国、地方公共団体及び国民の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、前条に規定する理念が具現されるように配慮して、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護(以下「更生援護」という。)を総合的に実施するように努めなければならない。
2 国民は、社会連帯の理念に基づき、身体障害者がその障害を克服し、社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

    第一節 定義
(身体障害者)
第四条 この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。
(事業)
第四条の二 この法律において、「身体障害者居宅生活支援事業」とは、身体障害者居宅介護等事業、身体障害者デイサービス事業及び身体障害者短期入所事業をいう。
2 この法律において、「身体障害者居宅介護等事業」とは、第十八条第一項第一号の措置に係る者につきその者の居宅において同号の厚生省令で定める便宜を供与する事業をいう。
3 この法律において、「身体障害者デイサービス事業」とは、第十八条第一項第二号の措置に係る者を同号の厚生省令で定める施設に通わせ、その者につき同号の厚生省令で定める便宜を供与する事業をいう。
4 この法律において、「身体障害者短期入所事業」とは、第十八条第一項第三号の措置に係る者を同号の厚生省令で定める施設に短期間入所させ、その者につき必要な保護を行う事業をいう。
(施設)
第五条 この法律において、「身体障害者更生援護施設」とは、身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉ホーム、身体障害者授産施設、身体障害者福祉センター、補装具製作施設及び視聴覚障害者情報提供施設をいう。
2 この法律において、「医療保健施設」とは、厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)に基づく国立病院及び国立療養所、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)に基づく保健所並びに医療法(昭和二十三年法律第二百五号)に規定する病院及び診療所をいう。

    第二節 身体障害者福祉審議会
(身体障害者福祉審議会)
第六条 身体障害者の福祉に関する事項を調査審議するため、厚生省に身体障害者福祉審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、厚生大臣の諮問に答え、又は関係各大臣に意見を具申し、及び第二十五条に規定する業務の運営について必要があると認めるときは、国又は地方公共団体の機関に対し、勧告をすることができる。
3 審議会は、身体障害者の福祉を図るため、芸能、出版物等を推薦し、又はそれらを製作し、興行し、若しくは販売する者等に対し、必要な勧告をすることができる。
4 審議会は、身体障害者の障害程度の審査に関する調査審議のため特別の部会を設けるものとする。
5 審議会は、必要があると認めるときは、関係行政機関に対し、その所属職員の出席説明及び資料の提出を求めることができる。
(身体障害者福祉審議会委員)
第七条 審議会は、委員三十人以内で組織する。
2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
3 前二項に規定する審議会の委員及び臨時委員は、身体障害者の更生援護、医療その他の福祉に関する事業に従事する者、学識経験ある者、雇用主、労働者及び身体障害者のうちから、厚生大臣が任命する。
(命令への委任)
第八条 前二条に定めるものの外、委員の任期、職務、旅費その他審議会の運営に関し必要な事項は、政令で定める。

    第三節 実施機関等
(援護の実施者)
第九条 この法律に定める身体障害者又はその介護を行う者に対する援護は、身体障害者が居住地を有するときは、その身体障害者の居住地の市町村が、身体障害者が居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでないときは、その身体障害者の現在地の市町村が行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十条第一項ただし書の規定により入所している身体障害者については、その者が入所前に居住地を有した者であるときは、その居住地の市町村が、その者が入所前に居住地を有しないか、又は明らかでなかつた者であるときは、入所前におけるその者の所在地の市町村が、この法律の定める援護を行うものとする。
3 市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
 一 身体に障害のある者を発見して、又はその相談に応じて、その福祉の増進を図るために必要な指導を行うこと。
 二 身体障害者の相談に応じ、その生活の実情、環境等を調査し、更生援護の必要の有無及びその種類を判断し、本人に対して、直接に、又は間接に、社会的更生の方途を指導すること並びにこれに付随する業務を行うこと。
4 その設置する福祉事務所(社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)に身体障害者福祉司を置いていない市町村の長及び福祉事務所を設置していない町村の長は、前項第二号に掲げる業務のうち専門的な知識及び技術を必要とするもの(次条第二項及び第三項において「専門的相談指導」という。)については、身体障害者更生相談所の技術的援助及び助言を求めなければならない。
5 市町村長は、第三項第二号に掲げる業務を行うに当たつて、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、身体障害者更生相談所の判定を求めなければならない。
6 市町村長は、この法律の規定による市町村又は市町村長の事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任することができる。
(市町村の福祉事務所)
第九条の二 市町村の設置する福祉事務所又はその長は、この法律の施行に関し、主として前条第三項各号に掲げる業務又は同条第四項及び第五項の規定による市町村長の業務を行うものとする。
2 市の設置する福祉事務所に身体障害者福祉司を置いている福祉事務所があるときは、当該市の身体障害者福祉司を置いていない福祉事務所の長は、専門的相談指導については、当該市の身体障害者福祉司の技術的援助及び助言を求めなければならない。
3 市町村の設置する福祉事務所のうち身体障害者福祉司を置いている福祉事務所の長は、専門的相談指導を行うに当たつて、特に専門的な知識及び技術を必要とする場合には、身体障害者更生相談所の技術的援助及び助言を求めなければならない。
(連絡調整等の実施者)
第一〇条 都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
 一 市町村の援護の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと。
 二 身体障害者の福祉に関し、主として次に掲げる業務を行うこと。
  イ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
  ロ 身体障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
  ハ 身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。
  ニ 必要に応じ、補装具の処方及び適合判定を行うこと。
2 都道府県知事は、市町村の援護の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。
3 都道府県知事は、第一項の規定による都道府県の事務又は前項の規定による都道府県知事の事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
(更生相談所)
第一一条 都道府県は、身体障害者の更生援護の利便のため、及び市町村の援護の適切な実施の支援のため、必要の地に身体障害者更生相談所を設けなければならない。
2 身体障害者更生相談所は、身体障害者の福祉に関し、主として第十条第一項第一号に掲げる業務(第十八条第四項第三号の措置に係るものに限る。)及び第十条第一項第二号ロからニまでに掲げる業務を行うものとする。
3 身体障害者更生相談所は、必要に応じ、巡回して、前項に規定する業務を行うことができる。
(身体障害者福祉司)
第一一条の二 都道府県は、その設置する身体障害者更生相談所に、身体障害者福祉司を置かなければならない。
2 市及び町村は、その設置する福祉事務所に、身体障害者福祉司を置くことができる。
3 都道府県の身体障害者福祉司は、身体障害者更生相談所の長の命を受けて、次に掲げる業務を行うものとする。
 一 第十条第一項第一号に掲げる業務のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
 二 身体障害者の福祉に関し、第十条第一項第二号ロに掲げる業務を行うこと。
4 市町村の身体障害者福祉司は、当該市町村の福祉事務所の長の命を受けて、身体障害者の福祉に関し、次に掲げる業務を行うものとする。
 一 福祉事務所の所員に対し、技術的指導を行うこと。
 二 第九条第三項第二号に掲げる業務のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
5 市の身体障害者福祉司は、第九条の二第二項の規定により技術的援助及び助言を求められたときは、これに協力しなければならない。この場合において、特に専門的な知識及び技術が必要であると認めるときは、身体障害者更生相談所に当該技術的援助及び助言を求めるよう助言しなければならない。
第一二条 身体障害者福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、任用しなければならない。
 一 社会福祉事業法に定める社会福祉主事たる資格を有する者であつて、身体障害者の更生援護その他その福祉に関する事業に二年以上従事した経験を有するもの
 二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学において、厚生大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
 三 医師
 四 身体障害者の更生援護の事業に従事する職員を養成する学校その他の施設で厚生大臣の指定するものを卒業した者
 五 前各号に準ずる者であつて、身体障害者福祉司として必要な学識経験を有するもの
(民生委員の協力)
第一二条の二 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所の長、身体障害者福祉司又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
(身体障害者相談員)
第一二条の三 都道府県は、身体に障害のある者の福祉の増進を図るため、身体に障害のある者の相談に応じ、及び身体に障害のある者の更生のために必要な援助を行うことを、社会的信望があり、かつ、身体に障害のある者の更生援護に熱意と識見を持つている者に委託することができる。
2 前項の規定により委託を受けた者は、身体障害者相談員と称する。
3 身体障害者相談員は、その委託を受けた業務を行なうに当たつては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならない。

   第二章 福祉の措置
(指導啓発)
第一三条 国及び地方公共団体は、疾病又は事故による身体障害の発生の予防及び身体に障害のある者の早期治療等について国民の関心を高め、かつ、身体に障害のある者の福祉に関する思想を普及するため、広く国民の指導啓発に努めなければならない。
(調査)
第一四条 厚生大臣は、身体に障害のある者の状況について、自ら調査を実施し、又は都道府県知事その他関係行政機関から調査報告を求め、その研究調査の結果に基いて身体に障害のある者の福祉の措置を徹底せしめるように努めなければならない。
(身体障害者手帳)
第一五条 身体に障害のある者は、都道府県知事の定める医師の診断書を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に身体障害者手帳の交付を申請することができる。但し、本人が十五歳に満たないときは、その保護者(親権を行う者及び後見人をいう。但し、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号の規定により里親に委託され、又は児童福祉施設に入所した児童については、当該里親又は児童福祉施設の長とする。以下同じ。)が代つて申請するものとする。
2 前項の規定により都道府県知事が医師を定めるときは、厚生大臣の定めるところに従い、且つ、その指定に当つては、地方社会福祉審議会の意見を聞かなければならない。
3 第一項に規定する医師が、その身体に障害のある者に診断書を交付するときは、その者の障害が別表に掲げる障害に該当するか否かについて意見書をつけなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の申請に基いて審査し、その障害が別表に掲げるものに該当すると認めたときは、申請者に身体障害者手帳を交付しなければならない。
5 前項に規定する審査の結果、その障害が別表に掲げるものに該当しないと認めたときは、都道府県知事は、理由を附して、その旨を申請者に通知しなければならない。
6 身体障害者手帳の交付を受けた者は、身体障害者手帳を譲渡し又は貸与してはならない。
7 身体に障害のある十五歳未満の者につき、その保護者が身体障害者手帳の交付を受けた場合において、本人が満十五歳に達したとき、又は本人が満十五歳に達する以前にその保護者が保護者でなくなつたときは、身体障害者手帳の交付を受けた保護者は、すみやかにこれを本人又は新たな保護者に引き渡さなければならない。
8 前項の場合において、本人が満十五歳に達する以前に、身体障害者手帳の交付を受けたその保護者が死亡したときは、その者の親族又は同居の縁故者でその身体障害者手帳を所持するものは、すみやかにこれを新たな保護者に引き渡さなければならない。
9 前二項の規定により本人又は新たな保護者が身体障害者手帳の引渡を受けたときは、その身体障害者手帳は、本人又は新たな保護者が交付を受けたものとみなす。
10 前各項に定めるものの外、身体障害者手帳に関し必要な事項は、政令で定める。
11 身体障害者手帳に関して必要な事項を定めようとする場合においては、厚生大臣は、あらかじめその案について審議会の意見を聞かなければならない。
(身体障害者手帳の返還)
第一六条 身体障害者手帳の交付を受けた者又はその者の親族若しくは同居の縁故者でその身体障害者手帳を所持するものは、本人が別表に掲げる障害を有しなくなつたとき、又は死亡したときは、すみやかに身体障害者手帳を都道府県知事に返還しなければならない。
2 都道府県知事は、次に掲げる場合には、身体障害者手帳の交付を受けた者に対し身体障害者手帳の返還を命ずることができる。
 一 本人の障害が別表に掲げるものに該当しないと認めたとき。
 二 身体障害者手帳の交付を受けた者が正当な理由がなく、第十八条の規定による診査又は児童福祉法第十九条第一項の規定による診査を拒み、又は忌避したとき。
 三 身体障害者手帳の交付を受けた者がその身体障害者手帳を他人に譲渡し又は貸与したとき。
3 都道府県知事は、前項の規定による処分をするには、文書をもつて、その理由を示さなければならない。
第一七条 前条第二項の規定による処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項の通知は、聴聞の期日の十日前までにしなければならない。
(措置の総合的実施)
第一七条の二 市町村は、身体障害者が、心身の状況、その置かれている環境等に応じて、最も適切な処遇が受けられるように居宅における介護等、身体障害者更生援護施設への入所等の措置の総合的な実施に努めなければならない。
(介護及び施設等)
第一八条 市町村は、身体障害者(第二号の措置については、身体障害者又はその介護を行う者)につき、必要に応じ、次の措置を採ることができる。
 一 居宅において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生省令で定めるものを必要とする者に対しては、政令で定める基準に従い、当該便宜を供与し、又は当該市町村以外の者に当該便宜の供与を委託すること。
 二 身体障害者福祉センターその他の厚生省令で定める施設(以下この号において「身体障害者福祉センター等」という。)における手芸、工作その他の創作的活動、機能訓練、介護方法の指導その他の厚生省令で定める便宜を必要とする者に対しては、政令で定める基準に従い、当該市町村の設置する身体障害者福祉センター等に通わせ、当該便宜を供与し、又は当該市町村以外の者の設置する身体障害者福祉センター等に通わせ、当該便宜を供与することを委託すること。
 三 居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、身体障害者療護施設その他の厚生省令で定める施設(以下この号において「身体障害者療護施設等」という。)への短期間入所を必要とする者に対しては、政令で定める基準に従い、当該市町村の設置する身体障害者療護施設等に短期間入所させ、必要な保護を行い、又は当該市町村以外の者の設置する身体障害者療護施設等に短期間入所させ、必要な保護を行うことを委託すること。
2 市町村は、日常生活を営むのに支障がある身体障害者につき、前項各号の措置を採るほか、その福祉を図るため、必要に応じ、日常生活上の便宜を図るための用具であつて厚生大臣が定めるものを給付し、若しくは貸与し、又は当該市町村以外の者にこれを給付し、若しくは貸与することを委託する措置を採ることができる。
3 市町村は、身体障害者が日常生活を営むのに支障が生じた場合においても、引き続き居宅において日常生活を営むことができるよう、前二項の措置その他地域の実情に応じたきめ細かな措置の積極的な実施に努めるものとする。
4 市町村は、身体障害者の診査及び更生相談を行い、必要に応じ、次の措置を採らなければならない。
 一 医療又は保健指導を必要とする者に対しては、医療保健施設に紹介すること。
 二 公共職業能力開発施設の行う職業訓練又は就職あつせんを必要とする者に対しては、公共職業安定所に紹介すること。
 三 身体障害者更生援護施設への入所又はその利用を必要とする者に対しては、当該地方公共団体の設置する当該施設に入所させ、若しくはそれを利用させ、又は国若しくは他の地方公共団体若しくは社会福祉法人の設置する当該施設にこれらの者の入所を委託すること。
 四 前三号に規定するもののほか、その更生に必要な事項につき指導すること。
5 市町村長は、身体障害者につき、第十六条第二項各号に掲げる事由があると認めるときは、その旨を都道府県知事に通告しなければならない。
6 市町村は、第四項の更生相談を行うに当たり必要があるときは、身体障害者福祉司その他身体障害者の福祉のための業務に従事する職員を当該身体障害者の住所又はその収容されている公私の病院若しくは療養所等に派遣して、当該身体障害者の相談に応じ、又はその者の指導を行わせなければならない。
7 医療保健施設又は公共職業安定所は、第四項第一号又は第二号に基づいて市町村から身体障害者の紹介があつたときは、その更生のために協力しなければならない。
(更生訓練費の支給)
第一八条の二 市町村は、前条第四項第三号の規定により身体障害者更生援護施設に入所させ、又は入所を委託した身体障害者に対して、当該施設における訓練を効果的に受けることができるようにするため必要と認めるときは、更生訓練費を支給し、又は特別な事情がある場合にはこれに代えて物品を支給することができる。
2 前項に規定する者であつて、国の設置する身体障害者更生援護施設への入所を委託されたものに対する更生訓練費又は物品の支給については、同項の規定にかかわらず、当該施設の長が行うものとする。
(措置の解除に係る説明等)
第一八条の三 市町村長は、第十八条第一項、第二項若しくは第四項第三号若しくは第四号又は第四十九条の二第一項の措置を解除する場合には、あらかじめ、当該措置に係る者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。ただし、当該措置に係る者から当該措置の解除の申出があつた場合その他厚生省令で定める場合においては、この限りでない。(行政手続法の適用除外)
第一八条の四 第十八条第一項、第二項若しくは第四項第三号若しくは第四号又は第四十九条の二第一項の措置を解除する処分については、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
(更生医療)
第一九条 市町村は、身体障害者が更生するために医療が必要であると認めるときは、その者の申請により、その更生のために必要な医療(以下「更生医療」という。)の給付を行い、又はこれに代えて更生医療に要する費用を支給することができる。
2 前項の規定による費用の支給は、更生医療の給付が困難であると認められる場合に限り、行うことができる。
3 更生医療の給付は、左のとおりとする。
 一 診察
 二 薬剤又は治療材料の支給
 三 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
 四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
 五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
 六 移送
4 更生医療の給付は、厚生大臣又は都道府県知事が次条の規定により指定する医療機関(以下「指定医療機関」という。)に委託して行うものとする。
(医療機関の指定)
第一九条の二 厚生大臣は、国が開設した病院若しくは診療所又は薬局についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)又は薬局についてその開設者の同意を得て、前条の規定による更生医療を担当させる医療機関を指定する。
2 指定医療機関は、前条の規定による更生医療の外、児童福祉法第二十条の規定による育成医療及び戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)第二十条の規定による更生医療を担当するものとする。
3 指定医療機関は、三十日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
4 指定医療機関が次条の規定に違反したとき、担当医師に変更があつたとき、その他指定医療機関に更生医療を担当させるについて著しく不適当であると認められる事由があるときは、厚生大臣の指定したものについては厚生大臣が、都道府県知事の指定したものについては都道府県知事が、その指定を取り消すことができる。児童福祉法の規定による育成医療又は戦傷病者特別援護法の規定による更生医療を担当させるについて著しく不適当であると認められる事由があるときも、同様とする。
5 厚生大臣又は都道府県知事は、医療機関の指定又は指定の取消しを行うに当たつては、あらかじめ審議会又は地方社会福祉審議会の意見を聴かなければならない。
(指定医療機関の義務)
第一九条の三 指定医療機関は、厚生大臣の定めるところにより、懇切丁寧に更生医療を担当しなければならない。
(診療方針及び診療報酬)
第一九条の四 指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。
2 前項に規定する診療方針及び診療報酬によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は厚生大臣が定めるところによる。
(医療費の審査及び支払)
第一九条の五 都道府県知事は、指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、且つ、指定医療機関が前条の規定によつて請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
2 指定医療機関は、都道府県知事が行う前項の決定に従わなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定により指定医療機関が請求することができる診療報酬の額を決定するに当たつては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
4 市町村は、指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生省令で定める者に委託することができる。
5 第一項の規定による診療報酬の額の決定については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
(報告の請求及び検査)
第一九条の六 厚生大臣又は都道府県知事は、指定医療機関の診療報酬の請求が適正であるかどうかを調査するため必要があると認めるときは、指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員をして当該医療機関について、その管理者の同意を得て、実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。
2 指定医療機関の管理者が、正当な理由がなく、前項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、厚生大臣又は都道府県知事は、当該指定医療機関に対する市町村の診療報酬の支払を一時差し止めさせ、又は差し止めることができる。
(支給費用の額)
第一九条の七 第十九条第一項の規定によつて支給する費用の額は、第十九条の四の規定により指定医療機関が請求することができる診療報酬の例により算定した額とする。但し、当該身体障害者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)に費用の負担能力があるときは、その負担能力に応じ、これを減額することができる。
(補装具)
第二〇条 市町村は、身体障害者から申請があつたときは、盲人安全つえ、補聴器、義肢、装具、車いすその他厚生大臣が定める補装具を交付し、若しくは修理し、又はこれに代えて補装具の購入若しくは修理に要する費用を支給することができる。
2 前項の規定による費用の支給は、補装具の交付又は修理が困難であると認められる場合に限り、行うことができる。
3 第一項に規定する補装具の交付又は修理は、補装具の製作若しくは修理を業とする者(以下「業者」という。)に委託して行い、又は市町村が自ら行うものとする。
(受託報酬)
第二一条 前条第三項の規定により補装具の交付又は修理の委託を受けた業者が市町村に対して請求することができる報酬の額の基準は、厚生大臣が定める。
(支給費用の額)
第二一条の二 第二十条第一項の規定により支給する費用の額は、前条の規定により業者が請求することができる報酬の例により算定した額とする。但し、当該身体障害者又はその扶養義務者に費用の負担能力があるときは、その負担能力に応じ、これを減額することができる。
(売店の設置)
第二二条 国又は地方公共団体の設置した事務所その他の公共的施設の管理者は、身体障害者からの申請があつたときは、その公共的施設内において、新聞、書籍、たばこ、事務用品、食料品その他の物品を販売するために、売店を設置することを許すように努めなければならない。
2 前項の規定により公共的施設内に売店を設置することを許したときは、当該施設の管理者は、その売店の運営について必要な規則を定めて、これを監督することができる。
3 第一項の規定により、売店を設置することを許された身体障害者は、病気その他正当な理由がある場合の外は、自らその業務に従事しなければならない。
第二三条 市町村は、前条に規定する売店の設置及びその運営を円滑にするため、その区域内の公共的施設の管理者と協議を行い、かつ、公共的施設における売店設置の可能な場所、販売物品の種類等を調査し、その結果を身体障害者に知らせる措置を講じなければならない。
(製造たばこの小売販売業の許可)
第二四条 身体障害者がたばこ事業法(昭和五十九年法律第六十八号)第二十二条第一項の規定による小売販売業の許可を申請した場合において同法第二十三条各号の規定に該当しないときは、大蔵大臣は、当該身体障害者に当該許可を与えるように努めなければならない。
2 第二十二条第三項の規定は、前項の規定によりたばこ事業法第二十二条第一項の許可を受けた者について準用する。
(製作品の購買)
第二五条 身体障害者の援護を目的とする社会福祉法人で厚生大臣の指定するものは、その援護する身体障害者の製作した政令で定める物品について、国又は地方公共団体の行政機関に対し、購買を求めることができる。
2 国又は地方公共団体の行政機関は、前項の規定により当該物品の購買を求められた場合において、適当と認められる価格により、且つ、自らの指定する期限内に購買することができるときは、自らの用に供する範囲において、その求に応じなければならない。但し、前項の社会福祉法人からその必要とする数量を購買することができないときは、この限りでない。
3 国の行政機関が、前二項の規定により当該物品を購買するときは、第一項の社会福祉法人の受註、納入等を円滑ならしめることを目的とする社会福祉法人で厚生大臣の指定するものを通じて行うことができる。
4 第一項に規定する政令を制定するには、あらかじめ審議会の意見を聞かなければならない。

   第三章 事業及び施設
(事業の開始等)
第二六条 国及び都道府県以外の者は、厚生省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、身体障害者居宅生活支援事業を行うことができる。
2 国及び都道府県以外の者は、身体障害者居宅生活支援事業を廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
(施設の設置等)
第二七条 国は、身体障害者更生援護施設を設置しなければならない。
2 都道府県は、身体障害者更生援護施設を設置することができる。
3 市町村は、あらかじめ厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、身体障害者更生援護施設を設置することができる。
4 社会福祉法人その他の者は、社会福祉事業法の定めるところにより、身体障害者更生援護施設を設置することができる。
5 身体障害者更生援護施設には、身体障害者の更生援護の事務に従事する者の養成施設(以下「養成施設」という。)を附置することができる。ただし、市町村がこれを附置する場合には、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
6 前各項に定めるもののほか、身体障害者更生援護施設の設置、廃止又は休止に関し必要な事項は、政令で定める。
(施設の基準)
第二八条 厚生大臣は、審議会の意見を聞き、身体障害者更生援護施設及び養成施設の設備及び運営について、基準を定めなければならない。
2 社会福祉法人その他の者が設置する身体障害者更生援護施設については、前項の規定による基準を社会福祉事業法第六十条第一項の規定による最低基準とみなして、同法第五十七条第四項、第六十条第二項及び第六十六条の規定を適用する。
(措置の受託義務)
第二八条の二 身体障害者居宅生活支援事業を行う者又は身体障害者更生援護施設の設置者は、第十八条第一項各号又は第四項第三号の規定による委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。
(身体障害者更生施設)
第二九条 身体障害者更生施設は、身体障害者を入所させて、その更生に必要な治療又は指導を行い、及びその更生に必要な訓練を行う施設とする。
(身体障害者療護施設)
第三〇条 身体障害者療護施設は、身体障害者であつて常時の介護を必要とするものを入所させて、治療及び養護を行う施設とする。
(身体障害者福祉ホーム)
第三〇条の二 身体障害者福祉ホームは、低額な料金で、身体上の障害のため家庭において日常生活を営むのに支障のある身体障害者に対し、その日常生活に適するような居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与する施設とする。
(身体障害者授産施設)
第三一条 身体障害者授産施設は、身体障害者で雇用されることの困難なもの又は生活に困窮するもの等を入所させて、必要な訓練を行い、かつ、職業を与え、自活させる施設とする。
(身体障害者福祉センター)
第三一条の二 身体障害者福祉センターは、無料又は低額な料金で、身体障害者に関する各種の相談に応じ、身体障害者に対し、機能訓練、教養の向上、社会との交流の促進及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設とする。
(補装具製作施設)
第三二条 補装具製作施設は、無料又は低額な料金で、補装具の製作又は修理を行う施設とする。
(視聴覚障害者情報提供施設)
第三三条 視聴覚障害者情報提供施設は、無料又は低額な料金で、点字刊行物、聴覚障害者用の録画物その他各種情報を記録した物であつて専ら視聴覚障害者が利用するものを製作し、又はこれらを視聴覚障害者の利用に供する施設とする。
第三四条 削除

   第四章 費用
(市町村の支弁)
第三五条 身体障害者の更生援護について、この法律において規定する事項に要する費用のうち、次に掲げるものは、市町村の支弁とする。
 一 第十一条の二の規定により市町村が設置する身体障害者福祉司の設置及び運営に要する費用
 二 第十三条、第十四条、第十八条、第十九条及び第二十条の規定により市町村長が行う行政措置に要する費用(国の設置する身体障害者更生援護施設に対し第十八条第四項第三号の規定による委託をした場合において、その委託後に要する費用を除く。)
 二の二 第十八条の二第一項の規定により市町村が行う更生訓練費又は物品の支給に要する費用
 三 第十九条の五第四項の規定により市町村が行う指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務の委託に要する費用
 四 第二十七条第三項及び第五項の規定により、市町村が設置する身体障害者更生援護施設及び養成施設の設置及び運営に要する費用
(都道府県の支弁)
第三六条 身体障害者の更生援護について、この法律において規定する事項に要する費用のうち、次に掲げるものは、都道府県の支弁とする。
 一 第十一条の二の規定により都道府県が設置する身体障害者福祉司の設置及び運営に要する費用
 二 第十一条の規定により都道府県が設置する身体障害者更生相談所の設置及び運営に要する費用
 二の二 第十二条の三の規定により都道府県が行う委託に要する費用
 三 第十三条から第十五条まで、第十九条の五及び第十九条の六の規定により都道府県知事が行う行政措置に要する費用
 四 第二十七条第二項及び第五項の規定により都道府県が設置する身体障害者更生援護施設及び養成施設の設置及び運営に要する費用
(国の支弁)
第三六条の二 国は、市町村が、第十八条第四項第三号の規定により国の設置する身体障害者更生援護施設に身体障害者の入所を委託した場合におけるその委託後に要する費用を支弁する。
(都道府県の負担及び補助)
第三七条 都道府県は、政令の定めるところにより、第三十五条の規定により市町村が支弁する費用について、次に掲げるものを負担する。
 一 第三十五条第二号の費用(第十八条第四項から第六項まで、第十九条及び第二十条の規定により市町村長が行う行政措置に要する費用に限り、次号に掲げる費用を除く。)のうち、福祉事務所を設置しない町村が支弁するものについては、その四分の一
 二 第三十五条第二号の費用(居住地を有しないか、又は明らかでない第九条に規定する身体障害者についての第十八条第四項から第六項まで、第十九条及び第二十条の規定により市町村長が行う行政措置に要する費用に限る。)については、その十分の五
 三 第三十五条第四号の費用のうち、当該施設の設置に要する費用(身体障害者福祉ホーム及び身体障害者福祉センターの設置に要する費用を除く。)については、その四分の一
2 都道府県は、政令の定めるところにより、第三十五条の規定により市町村が支弁する費用のうち、同条第二号の費用(第十八条第一項の規定により市町村長が行う行政措置に要する費用に限る。)については、その四分の一以内(居住地を有しないか、又は明らかでない第九条に規定する身体障害者についての第十八条第一項の規定により市町村長が行う行政措置に要する費用については、その十分の五以内)を補助することができる。
(国の負担及び補助)
第三七条の二 国は、政令の定めるところにより、第三十五条及び第三十六条の規定により市町村及び都道府県が支弁する費用について、次に掲げるものを負担する。
 一 第三十五条第四号及び第三十六条第四号の費用(身体障害者福祉ホーム及び身体障害者福祉センターの設置及び運営に要する費用を除く。)については、その十分の五
 二 第三十六条第二号の費用のうち、その運営に要する費用については、その十分の五
 三 第三十五条第二号の費用(第十八条第一項及び第二項の規定により市町村長が行う行政措置に要する費用を除く。)及び第三十六条第三号の費用(第十九条の五の規定により都道府県知事が行う行政措置に要する費用を除く。)については、その十分の五
2 国は、政令の定めるところにより、第三十五条の規定により市町村が支弁する費用のうち、同条第二号の費用(第十八条第一項の規定により市町村長が行う行政措置に要する費用に限る。)については、その十分の五以内を補助することができる。
(費用の負担命令及び徴収)
第三八条 更生医療の給付が行われ、又は業者に委託して補装具の交付若しくは修理が行われる場合においては、当該行政措置に要する費用を支弁すべき市町村の長は、当該身体障害者又はその扶養義務者に対して、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を指定医療機関又は業者に支払うべき旨を命じることができる。
2 身体障害者又はその扶養義務者が前項の規定により支払うべき旨を命ぜられた額の全部又は一部を指定医療機関又は業者に支払つたときは、当該指定医療機関又は業者の市町村に対する当該費用に係る請求権は、その限度において消滅するものとする。
3 第一項に規定する行政措置が行われた場合において、身体障害者又はその扶養義務者が、同項の規定により支払うべき旨を命ぜられた額の全部又は一部を支払わなかつたため、市町村においてその費用を支弁したときは、当該市町村の長は、当該身体障害者又はその扶養義務者から、その支払わなかつた額を徴収することができる。
4 身体障害者更生援護施設への入所若しくは入所の委託(国の設置する身体障害者更生援護施設への入所の委託を除く。)が行われた場合又は補装具の交付若しくは修理が行われた場合(業者に委託して行われた場合を除く。)においては、当該行政措置に要する費用を支弁した市町村の長は、当該身体障害者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる。
5 市町村により国の設置する身体障害者更生援護施設への入所の委託が行われた場合においては、主務大臣は、当該身体障害者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる。
(準用規定)
第三八条の二 社会福祉事業法第五十六条第二項から第四項までの規定は、国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第一号の規定又は同法第三条第一項第四号及び第二項の規定により普通財産の譲渡又は貸付けを受けた社会福祉法人に準用する。

   第五章 雑則
(報告の徴収等)
第三九条 都道府県知事は、身体障害者の福祉のために必要があると認めるときは、身体障害者居宅生活支援事業を行う者に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 都道府県知事は、第二十七条第三項の規定により市町村が設置する身体障害者更生援護施設の運営を適切にさせるため、必要があると認めるときは、当該施設の長に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(事業の停止等)
第四〇条 都道府県知事は、身体障害者居宅生活支援事業を行う者が、この法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは第十八条第一項各号の措置に係る者の処遇につき不当な行為をしたときは、その事業を行う者に対し、その事業の制限又は停止を命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による処分を行う場合には、あらかじめ、地方社会福祉審議会の意見を聴かなければならない。
第四一条 身体障害者更生援護施設又は養成施設について、その設備若しくは運営が第二十八条第一項の規定による基準にそわなくなつたと認められ、又は法令の規定に違反すると認められるときは、都道府県の設置したものについては厚生大臣が審議会の意見を聴いて、市町村の設置したものについては都道府県知事が地方社会福祉審議会の意見を聴いて、それぞれ、その事業の停止又は廃止を命ずることができる。
2 厚生大臣又は都道府県知事は、前項の規定による処分をするには、文書をもつて、その理由を示さなければならない。
第四二条 削除
(町村の一部事務組合等)
第四三条 町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。
(大都市等の特例)
第四三条の二 この法律中都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下本条中「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下本条中「中核市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市若しくは中核市(以下本条中「指定都市等」という。)が処理し、又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員に関する規定は、指定都市等又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員に関する規定として指定都市等又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員に適用があるものとする。
2 前項の規定により指定都市等の長がした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生大臣に対して再審査請求をすることができる。
(租税その他公課の非課税)
第四四条 この法律により支給を受けた金品を標準として、租税その他の公課を課することができない。
(差押の禁止)
第四五条 この法律による支給金品は、既に支給を受けたものであるとないとにかかわらず、差し押えることができない。
(実施命令)
第四五条の二 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生省令で定める。
(罰則)
第四六条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
 一 第十五条第六項の規定に違反した者
 二 第十六条第一項の規定に違反した者
第四七条 偽りその他不正な手段により、身体障害者手帳の交付を受けた者又は受けさせた者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
第四八条 第十六条第二項の規定に基づく都道府県知事の命令に違反した者は、三月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

   附 則(抄)
(施行期日)
第四九条 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。
(福祉の措置の特例)
第四九条の二 市町村は、児童福祉法第六十三条の四の規定による通知に係る児童について、第十八条第四項第三号の措置を採り、及び当該措置を採つた児童に対して、第十八条の二第一項の更生訓練費又は物品の支給をすることができる。
2 前項に規定する児童は、第九条から第十条まで、第十一条の二、第三十五条から第三十六条の三まで及び第三十八条の規定の適用については、身体障害者とみなす。
別表(第四条、第十五条、第十六条関係)
一 次に掲げる視覚障害で、永続するもの
 1 両眼の視力(万国式試視力表によつて測つたものをいい、屈折異常がある者については、矯正視力について測つたものをいう。以下同じ。)がそれぞれ○・一以下のもの
 2 一眼の視力が○・○二以下、他眼の視力が○・六以下のもの
 3 両眼の視野がそれぞれ一○度以内のもの
 4 両眼による視野の二分の一以上が欠けているもの
二 次に掲げる聴覚又は平衡機能の障害で、永続するもの
 1 両耳の聴力レベルがそれぞれ七○デシベル以上のもの
 2 一耳の聴力レベルが九○デシベル以上、他耳の聴力レベルが五○デシベル以上のもの
 3 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が五○パーセント以下のもの
 4 平衡機能の著しい障害
三 次に掲げる音声機能、言語機能又はそしやく機能の障害
 1 音声機能、言語機能又はそしやく機能の喪失
 2 音声機能、言語機能又はそしやく機能の著しい障害で、永続するもの
四 次に掲げる肢体不自由
 1 一上肢、一下肢又は体幹の機能の著しい障害で、永続するもの
 2 一上肢のおや指を指骨間関節以上で欠くもの又はひとさし指を含めて一上肢の二指以上をそれぞれ第一指骨間関節以上で欠くもの
 3 一下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
 4 両下肢のすべての指を欠くもの
 5 一上肢のおや指の機能の著しい障害又はひとさし指を含めて一上肢の三指以上の機能の著しい障害で、永続するもの
 6 1から5までに掲げるもののほか、その程度が1から5までに掲げる障害の程度以上であると認められる障害
五 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害その他政令で定める障害で、永続し、かつ、日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの