×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。


特殊教育における教材・教具の工夫と活用

1 特殊教育と教材・教具

  特殊教育において、子供の自主的、主体的な学習を推進し、基礎的・基本的な内容を 子供が確実に身に付けるようにするためには、教材・教具を適切に活用する必要がある。
教材としては、小中学校と同様に、教科書を一番にあげることができる。盲学校用の 点字教科書、聾学校用の国語(言語指導用)、及び音楽の教科書、知的障害養護学校用の国語、算数(数学)及び音楽の教科書がある。また、指導の効果を高めるため、教科 書以外の教材・教具も広く利用されている。特に近年、多様な視聴覚教材とともに、コ ンピュータなどの教育機器の利用が増えている。コンピュータについては、子供の障害 等に基づく学習上の困難を解消するためなど、今後積極的に活用していくことが期待さ れている。
さらに、特殊教育においては、指導の効果を一層高めるため、障害のある子供の指導 に当たって、既存の教材・教具や市販されている教材・教具だけでは解決が困難 な場 合があり、一人一人の障害の状態、発達の状態、興味、関心、学習課題など、個々の子 供に対応するような教材・教具の創意工夫が行われてる。


  これまでに、どんなに熱心に働きかけても、反応を示さなかった子供が、その子にちょうど合った教材・教具の工夫によって、生き生きと学習に取り組み、これまでにでき なかった課題を自力で解決できたときのほのぼのとした感動は、教育の根底に触れる思いがする。

教材・教具の定義

障害をもつ子どもの教材・教具」久里浜の教育同人会編より

教材 教育目標と子供の発達り現状とを直結するために、教師が、意図的にもたら
すところの媒体ともいうべき教育学上の素材を意味する。
子どもを主体とした場合の、その客体となるすべての文化財としての抽象的
内容
教具 教育の方法または手段として使われる具体的道具を意味する
教育の方法または手段として使われる具体的な道具

一般に教材と教具とは、区別されにくく、「教材・教具」と併記して用いらることが多い。

2 教材・教具の機能
(1) 子供に自発的な行動を発現させる機能
子供の興味、関心を引く教材・教具は子供の自発的な行動を自然に生起させる要因の一つになる。

(2) 子供に学習の動機づけをさせる機能
子供になんらかの学習のきっかけを作ることが重要である。子供が与えられた学習内容に対して取りかかるための内発的動機づけが大変重要である。

(3) 子供の学習を系統的・構造的に展開させる機能
ビアジェの規定する感覚・運動期等の「初期学習」の段階から徐々に子供の学習意   欲を高め概念の形成に向けて指導していく必要があ特に、子供の障害の実態に合わせて系統的な学習を進めるために教材・教具について様々な工夫が要請される。

(4) 子供の学習を深め、学習の効率を上げる機能等の観点
子供一人一人の実態に合った学習内容と教材・教具が準備され、適切な指導が図ら   れると、子供の学習の効率が上がる。特に、形、色彩、大きさ、材質、デザイン等、教材・教具そのものが示す特性については、同時に教材・教具の操作の難易さとも関連して子供の学習意欲を促す大きな要因になる。

●良い教材・教具とは、
 子供を良く知る(実態把握)ことからスタートします。


3 教材・教具の工夫・開発
教材・教具の工夫・開発にあたっては、次の観点に気をつける必要があります。

教材・教具の工夫及び教材・教具の開発の観点

(1) 注意を引きつけ、活動を引き出すこと
(2) 正しい反応を強化できるものであること
(3) 個別的、診断的であること
(4) 身辺生活の処理能力の伸長を促すこと
(5) 集団生活への参加を促すこと
(6) 生活経験の拡大を図ること
(7) ことがらを数量的、合理的に処理する力を養うこと
(8) 感受性を高め、表現力を伸長すること
(9) ことばの発達や弁別、形態把握の力の向上を促すこと
(10) 健康の増進を図ること
(11) 感覚、運動機能の発達を促すこと

「心身に障害をもつ児童生徒の教材・教具」北海道教育庁学校教育部特殊教育課

4 教材・教具作製に当たっての留意事項

(1) 安全面に十分注意する
(2) 操作が簡単で、堅ろうなもの
(3) 身近な材料を利用する
(4) 作製のねらい、使用方法などの説明書をつける
(5) 持ち運びが容易
(6) 高価でなく、清潔な状態にして保存が容易
(7) 形がシンプルなもの
(8) 立体的で、子供が好感をもつもの


5 教材・教具の工夫と活用の実際
(1) 視覚障害児に対する創意工夫の観点
・両手の中で扱える適切な大きさにすること
・色や材料の違いを明確にすること
・保有する感覚を活用できるようにすること
・単純化すること
・安全で丈夫なものにすること

(2) 聴覚障害児に対する創意工夫の観点
・視覚的に理解しやすいようにすること
・コミュニケーション活動を活発にすること
・言語概念の形成を図ること
・聴覚の活用を図ること
・視覚的に自己評価すること

(3) 精神発達に遅れのある子供に対する創意工夫の観点
 ・特に、子供の興味・関心に結び付くものであること
・操作による反応が短時間に表れるものであること
・生活に密着したもので具体的な操作ができるものであること
・安全で壊れにくいものであること
・子供の課題解決につながるものであること
・子供の達成感につながるものであること
 ・子供と教師が時間を共有できるものであること

(4) 肢体不自由児に対する創意工夫の観点
・一人一人の運動・動作の状態に即したものであること
・視知覚の状態に配慮すること
・操作が容易なこと
・子供の興味・関心を考慮すること

(5) 病弱・身体虚弱児に対する創意工夫の観点
・学習の空白などを補うこと
・身体活動の制限を考慮すること
・経験を広めるようにすること

(6) 言語障害児に対する創意工夫の観点
・「吹く」「吸う」など発語器官の機能を高めるもの
・傾聴態度や聴覚的弁別力を高めるもの
・発語意欲を高めるもの

(7) 情緒障害児に対する創意工夫の観点
・視覚や聴覚など認知特性を考慮したもの
・興味・関心やこだわりなどを生かす
・バターンから一般化したものへ学習を広げる
・情緒の安定が図られるもの


自作教材・教具の作成の手順

・いかに用いられるかの意図

・簡易な試作品の作成

・事前の予備実験

・試作 → 製作


6 さあ!作ってみよう
(1) 作製にあたっては、まず、子供の顔を思い浮かべてみよう。
(2) 子供の顔と作製のねらいを重ねて考えよう。
(3) 子供の実態とねらいから、「木」で作った方が効果的なのか、コンピュータを使った方が効果的なのか。両方なのか。
(4) 簡単な試作品を作って、試してみよう。
(5) いよいよ、作製に取りかかろう。

7 授業と教材・教具の改善

実態把握
授業のねらい 教材の改善
教材・教具の選択(自作含)
指導案の検討
授 業
評 価

「参考文献」
 文部省:心身障害児の教育と教材・教具,1994. 
久里浜の教育同人会:障害をもつ子どもの教材・教具,教育出版,1979.
北海道立特殊教育センター:教材・教具指導資料,1988〜1996. 
宮崎直男:手づくりの教材・教具による授業,明治図書,1989.