情報公開と個人情報の保護


1 個人情報の保護

 国や各自治体は、情報公開と表裏一体のものとして、個人情報の保護を条例などで制定している。

「個人情報保護の手引き」東京都情報連絡室
伝統的、消極的意味におけるプライバシーの権利を保護するとともに、さらに、自己の個人情報の開示及び訂正を請求する権利を保障することにより、積極的に自己の個人情報に関するいわゆる現代的、積極的意味におけるプライバシーの保護を目指したものであり、これにより、個人の権利利益を守る個人情報保護の総合的な確立を図るものである。(自己情報コントロール権の保障)

 文部科学省は、指導要録や調査書については、「評価の公正や客観性を確保するなどの観点から、開示を前提としない取り扱いがなされてきた。」と強調し、条例の制定や運営などが自治体間でまちまちな状況にあることを踏まえ、慎重な構えを示し、統一的な見解を明らかにするのを避け、「開示するかどうか、基本的には各自治体の責任において適切に判断すべきだ」とするにとどめている。

●個人情報の収集と記録、保存にあたっては、その範囲や対象項目などを厳選し、むやみに過剰な情報を収集しないようにすべきである。また、どのように整理し、取捨選択し、必要がなくなったものを確実に廃棄するかである。

2 情報公開
 「知る権利」は、憲法上直接の根拠を持たないという意味で「新しい権利」といわれる。
「教育情報公開請求訴訟」の動きは、加速している。指導要録・内申書の部分開示から全面開示へと動いている。

地方公務員法第三四条一項
「職員は、職務上知りえた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」という守秘義務を課している。

 指導要録や内申書の、行政レベルでは、流れはほとんど一方的に全面開示の方向に向かっている。しかし、教育の専門家ではない裁判官の判断が教育の専門的事項についてそれぼど権威を持ち得るか。(不当な記述は訂正、削除も求められた)
 現在、高裁段階で二分され、最高裁が最終的な結論を出すまでは、全面開示の流れが定まったと見るのは、早計過ぎると思われる。

予想される「情報公開」項目

1 職員会議録(国旗・国歌問題、バイク問題等)
2 事故報告書
3 体罰報告書
4 入試選抜に関する書類
5 学習評価一覧表
6 成績判定会議


学校が持つ個人情報
情報とは
行政文書と規定し、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録」と定めている。(情報公開法H・11)

教職員の関するもの 1 教職員の名簿、履歴書
2 出勤簿
3 健康診断に関する表簿
4 辞令交付簿、人事に関する関係書類
5 旧教職員に関する履歴書等の関係書類
児童生徒に関するもの 1 指導要録とその写し
2 出席簿
3 健康診断に関する表簿
4 入学者の選抜及び成績考査に関する表簿
5 卒業証書授与台帳
6 諸願書届書綴
7 就学事務に関する書類
8 教務手帳、試験結果の記録などの学習状況などを記録した書類
9 進路状況一覧、調査書などのように、進路に関する記録書類
10 生徒指導、教育相談などに関する記録書類
11 学校事故やいじめ、不登校などに関して記録した報告書や関係書類
12 就学援助関係書類、給食費などの納入状況を記録した書類