カウンセリング・マインド

1 一般的な意味、内容

カウンセリングの目標は、子どもの直面する問題行動や精神的苦痛の解決を支援するだけでなく、子ども自身の発達と学習が健全な道を進むように支援することも含む。「筑波大学,荒井邦二郎」

 子供は、先生や親、友達に関心をもたれたい、認められたい、尊重されたい、理解されたいという欲求をもっていて、その欲求が満たされると、自分でよりよい方向へ成長していきます。このような子供の成長の力を深く信頼し、あらゆる場で一人一人に関心をもち、認め、尊重し、理解しようとする態度や姿勢。

(1) 肯定的配慮
 子ども一人一人の気持ち、感情、考え方を尊重することであり、積極的尊重ともいわれる。ロジャーズは、無条件の受容を重視する。

(2) 共感的理解
子どもの気持ち、感情をありのままに共感的に理解しようとする態度である。
 クライエントのことばや態度、動作による表現(顕型)に、カウンセラーが、目を奪われたり、あるいは、ゆがめたり、無視したりせず、その顕型を支える気持ちや感情、主観(原型)を、その人の身になって感じ取り、できるだけクライエントの理解の仕方に近い理解の仕方をするように努めること

(3) 純粋性
教師が子どもに裏表のない態度、偽りのない心で接することである。自己一致ともいわれる。

(4) 中立性
教師が自分の意見を頭から相手に押しつけたり、強制しないで、中立の立場をとることである。

傾聴、受容
 クライエントの話に積極的な関心を示し、心から聴き入る態度と相手の感じ方や考え方、気持ちなどを、評価を行わず、ありのままに好意的な気持ちをもって受け容れる、尊重しようとする態度

 これを前提にして指導すべきであるが、無条件の受容に止まっているだけでは教育は成り立たない。


2 学校教育におけるカウンセリング的関わりの場

関わりの場として、次にあげる場が考えられている。

(1) 授業の中の学習支援

(2) 治療的な個別の学習支援

(3) 学級活動・学校行事での社会的支援

(4) 進路指導等でのキャリア・カウンセリング

(5) 不登校児や多様な心理的障害児の治療的カウンセリング

(6) 社会的規範意識や生き方に関する教育的指導

 学校は治療機関ではなく、教育機関である。教師の仕事は治療ではなく教育である。それゆえ、治療的カウンセリングよりも育てるカウンセリング(予防開発的カウンセリング)の方が教師には役に立つ。SGE(構成的グループエンカウンター)は育てるカウンセリングの代表例の一つであり、教育方法の一つである。

3 発達課題を見るポイント

子どもの問題には、発達課題のつまずきが潜んでいることが多いし、発達課題の解決を支援することが専門的カウンセリングでは求められる。

発達課題を見るポイント

1 子どもの生得的特質とその子をとりまく環境とがミスマッチしていないか。
2 子どもが心理的に支えるサポートシステムが家庭や学校などで作られているか。
3 社会のルールにそって自分の欲求をコントロールする力を身に付けているか。
4 他人のイメージではなく、自分のイメージを持ちながら生活や学習などの活動を行っているか。
5 自分の能力の個性に気付き、それに自信を持とうとしているか。
6 自分の生きる条件を理解し、それをふまえた生き方を見つけようとしているか。